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軍艦島では、堤防に囲まれた船の着岸も重要課題の一つでした。ここではドルフィン桟橋をはじめ、軍艦島の船着き場についてお伝えします。
軍艦島の初期、人々は小舟で岸壁の斜路に着岸しましたが、1925年にクレーン式上陸桟橋ができると、艀から桟橋を通って上陸。しかし、海がしけると艀に乗り移れない子どもは上陸桟橋から垂れる縄梯子を昇るしかありません。大型船の着岸できる桟橋が完成したのは、1962年と年月がかかりました。
「ドルフィン桟橋」とは、堤防がない沖合に杭を打ち込んで作られた係留施設。さらに波の上下、潮の干満に合わせてタラップが上下する日本初の構造を兼ね備えています。
しかし、1954年完成の初代は1956年の大型台風9号で流出、1958年により強固に改造した二代目も翌年の台風14号で流出。これらの経験を元に、1962年に三代目が完成。桟橋は、見学コースの建設時に、桟橋の中央部分を階段状に削り、潮の干満に合わせて上陸する段を選択する構造に改造されています。
「めがね」は、防波堤にある穴で、軍艦島で発生したゴミが捨てられました。そのため周辺の海は、ゴミの他にも糞尿などが垂れ流しで、衛生状態が非常に悪いものでした。しかし、多くの人が気にせず泳ぎ、感染症にかかる人も多かったと言います。
島内の学校横の堤防沿いには、船着場がスロープ状の「すべり」と呼ばれる船着場があります。構造上、大型の船は接岸できず、対岸にある野母半島から来る野菜の行商船が発着していました。
閉山時にあった船着場とは別に、島の北西端の辺りにスロープ状の船着場があったとされます。位置は、長崎や高島から船で来る際、最初に到着する場所。 少しでも労力を少なく島に上陸するための島民の知恵だと考えられます。
しかし、付近は波の影響を強く受けやすく、後に大量のテトラポッドが投下されたことから、船着き場は廃止されました。
海の状況や悪天候で上陸できないことも多い中、平均上陸率94.7%(※)と高い上陸率を誇る軍艦島コンシェルジュさん協力のもと、軍艦島の上陸ツアーに参加したレポートを紹介しています。ツアーの見どころはもちろん、軍艦島の魅力を余すところなくお届けします!
※平成23年度~平成30年度の上陸実績