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炭鉱という特性上、電気は割と古い時代から発電をしていたが、湧き水のない状況での水の確保は大変であった軍艦島。その遍歴について解説します。
軍艦島の電力は、1902年、発電所が島内に建設されたことをきっかけに、炭鉱の特性から早い段階に導入されます。
さらに1917年、軍艦島の親会社に当たる高島炭鉱の発電所からの送電海底電線ケーブルの敷設によって送電がはじまります。動力は、蒸気から電力にほぼ切り替わりました。
さらに、炭鉱施設に必要な電力を確保する機械の大型化や消費電力の肥大化に伴って、発電所が変電所に変わります。早い時期からの普及は、巻揚機や空気圧縮機など炭鉱施設に必要な電力を確保できるようにさせました。以降、高島からの供給電力によって、すべての電力がまかなわれます。
軍艦島での水の確保は、非常に難しいことでした。島には川、池、湧き水、貯水池もなかったのです。
1940年代まで、島の生活用水は製塩工場から出る蒸留水と給水船で供給されました。ですが、悪天候で船が欠航することもあり、貯水量が減ることも。配水は飲み水や洗濯のすすぎ水などに制限され、島民は不便を強いられることも多々ありました。
水不足解消へ向け、給水船に加え、1949年に「朝顔丸」が投入されます。島では、1日あたりの生活に必要な真水を給水できるようになりました。
さらに1890年、島が三菱社の管理下になると、安定して水を確保できるようになります。ですが、人口が増え続ける軍艦島ではまだまだ足りません。島民は、節水を行うことで水を確保します。「水券」の発行による配給制度の導入や生活用水を海水にする、浴場や洗濯場などの共同化の対策を練りました。
最終的に1957年、日本初の海底水道が敷設され、水の確保が楽になります。同年に島内のすべての配管工事が完了すると、各家庭では蛇口をひねるだけで自由に水が使えるように。結果、島民たちの暮らしを楽にしました。
海の状況や悪天候で上陸できないことも多い中、平均上陸率94.7%(※)と高い上陸率を誇る軍艦島コンシェルジュさん協力のもと、軍艦島の上陸ツアーに参加したレポートを紹介しています。ツアーの見どころはもちろん、軍艦島の魅力を余すところなくお届けします!
※平成23年度~平成30年度の上陸実績