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2016年、軍艦島の所有・管理を行う長崎市は、老朽化が進む端島炭坑を国や長崎県の補助を受けつつ、約108億円をかけて整備する方針を明らかにしました。1974年の炭鉱閉山から40年以上が経つ軍艦は、崩壊の危機にさらされています。ここでは、人工物である軍艦島とその建物の崩壊危機の要因について紹介します。
1974年の閉山から40年以上が経過し、無人になった軍艦島は立ち入りが禁止され、「廃墟」と呼ばれるようになります。原因は、島全体の老朽化に伴う崩壊です。
約40の建造物のうち、一部の建物は波や風雨にさらされたことで劣化。建物は、建築から100年ほど経っています。さらに、建物だけではなく護岸も古くなっており、大きく割れていたり、穴が開いている部分があります。
計6回にわたる拡張工事で埋め立てを繰り返し、現在の島の形になった軍艦島。40年の歳月を経て、建物の窓は打ち破られ、ベランダやテラスは根こそぎ崩れ落ちてしまいました。また、コンクリートから鉄筋がむき出しになり、鉄筋も錆びついて反り返っています。
安全面を確保できないため、一般人の島への立ち入りは禁止されました。しかし、2008年に長崎市が条例を制定し、見学道路が整備され、2009年から一部エリアに限り見学可能となります。観光客は、観光ツアーなどで上陸することができますよ。
そして2016年、軍艦島の所有・管理を行う長崎市は、老朽化が進む軍艦島を国や長崎県の補助を受けながら、約108億円をかけて整備する方針を明らかにしました。市の計画では、明治時代から残る護岸や炭坑関連施設を優先的に整備する計画。また、鉱員住宅などを補修するためには、別に約120億~670億円が必要になると試算されています。
しかし廃墟の軍艦島を完全かつ綺麗に修復すると、その価値が損なわれることに。つまり、軍艦島は廃墟のまま維持する、むずかしい修復と保存が求められているのです。
海の状況や悪天候で上陸できないことも多い中、平均上陸率94.7%(※)と高い上陸率を誇る軍艦島コンシェルジュさん協力のもと、軍艦島の上陸ツアーに参加したレポートを紹介しています。ツアーの見どころはもちろん、軍艦島の魅力を余すところなくお届けします!
※平成23年度~平成30年度の上陸実績